アンチエイジング〜鍵は◯と◯◯と◯◯~腸活ラボマガジンVol.7~

アンチエイジングと聞いて何が大切かわかりますか?
やまだ 2024.06.02
誰でも

はじめに

こんにちは、やまだです。突然ですが、

アンチエイジングと聞いて何が大切かわかりますか?

答えは、酸素温度です。なぜだかわかりますか?これらはすべて共通することがあります。そうです。酸化です。どれも酸化に関することです。

まず光ですが、なぜ光?と思った方もおられるかもしれません。光酸化という言葉をご存知でしょうか?高校の化学で習ったことを覚えている方もおられるかもしれません。なぜ光で酸化するのか、答えは、光がエネルギーを持っているからです。光による酸化には、光酸化と光増感酸化があります。

図1 食品の光酸化と光増感酸化の仕組み

図1 食品の光酸化と光増感酸化の仕組み

光酸化

光酸化とは、紫外線などがもつ光エネルギーによる成分の直接的な酸化反応のことを指します。酸化する物質としては、脂質やタンパク質、β-カロテンなどの色素成分、シトラールなどのフレーバー成分があります。

光増感酸化

光増感酸化とは、光増感物質が特定の波長の光エネルギーを吸収し、活性酸素を発生させることで進行します。紫外線の少ないLED下でも起こる可能性があります。光増感物質には、ビタミンB2、野菜などに含まれる葉緑体のクロロフィルなどがあります。

図2 ビタミンB2(リボフラビン)の構造式

図2 ビタミンB2(リボフラビン)の構造式

図3 クロロフィルaの構造式

図3 クロロフィルaの構造式

酸素

これは、皆さん、ご存知の通り、酸素があるからこそ僕たち好気呼吸をする生き物は生きていますが、諸刃の剣である酸素を使ってしまった以上、酸化=老化は避けられません。ですが、抗酸化作用のある食べ物やスキンケア商品はたくさんありますのでうまくそれらを活用していくのが大切ですね。

温度

酸化の反応、つまり、食べ物や化粧品が酸化して、せっかくの抗酸化作用のある物質がなくなってしまうわけですが、その酸化反応も、大きくみると化学反応のひとつなわけです。そして、化学反応の速度は、温度が増すにつれて増加します。

図4 反応速度定数と温度の関係 

図4 反応速度定数と温度の関係 

一方で、これが酵素反応だった場合は、途中で酵素=タンパク質が変性(卵がゆで卵になるようなもの)してしまって、反応速度が減少してしまいます。

図5 酵素反応の場合の反応速度と温度の関係 

図5 酵素反応の場合の反応速度と温度の関係 

  脂質の酸化

脂質の酸化とはどのようなものでしょうか?酸化は、脂質内で二重結合をもつ多価不飽和脂肪酸が空気中の酸素と結合することです。また、油脂の主成分トリグリセリドが加水分解して脂肪酸が生じることも含まれます。これは酸価(AV)として表されます。

脂質が酸化してしまうと、まず脂質ヒドロペルオキシドが発生します。これは過酸化物価(POV)として表示され、食品衛生法で超えてはならない数値が決められています。ここからさらに酸化が進むと、アルデヒドやケトン、アルコールなどが生じて、特有の匂いや味を生じます。

そして、先ほど、光酸化についてお話ししましたが、なたね油とこめ油、大豆油を無色透明のガラス瓶に入れて、25℃で暗所と明所で8週間保存しました。その時にAVとPOVを測定して酸化レベルを見た実験があります。  

図6 油脂の酸化と光の影響 

図6 油脂の酸化と光の影響 

結果としては、暗所では、AV, POVともに大きな変化はなかったものの、明所に置くと、AVはそこまで大きな変化がなかったものの、POVでは、なたね油と米油が2週間、大豆油が4週間で安全性ラインの30 meq/kgを超えました

ここから、蛍光灯によっても、光によって酸化=劣化が進むものの、光が当たらないようにすればかなり劣化は抑えられることがわかりました。また、大豆油の劣化が遅かった理由は、ビタミンEの含有量が多いからだと推測されます。腸活的にもに日ごろからおすすめしているエクストラバージンオリーブオイルなどについても、遮光ボトルに入っていることが確認できるかと思います。

図7 エクストラバージンオリーブオイルの遮光ボトル

図7 エクストラバージンオリーブオイルの遮光ボトル

  タンパク質の酸化

タンパク質も酸化します。具体的には、システインやメチオニンなどイオウを含むアミノ酸が酸化しやすいです。これらのアミノ酸は、ジメチルジスルフィドやジメチルトリスルフィド、メチオナールなどの刺激性のある硫黄化合物を生じます。  

  化粧品の酸化

化粧品も抗酸化作用のある物質が用いられており、酸化しないための工夫が施されています。代表的なものとしてはビタミンCやレチノールがあります。  

  ビタミンC

抗酸化作用のある物質としては一番有名かと思います。そんなビタミンC自体も非常に酸化されやすい物質で、なおかつ、皮膚への吸収もされにくいため、様々な誘導体が開発されています。

水溶性ビタミンC

リン酸型のアスコルビルリン酸Na、リン酸アスコルビルMgやエチル基やグルコシド基がついたアスコルビルエチル、アスコルビルグルコシドがあります。酸化しにくく、肌に入ってからアスコルビン酸になり、ビタミンCとしての機能を発揮します。

脂溶性ビタミンC

浸透性と持続性が優れています。浸透がゆっくりしているので長期間使用していくことが前提です。具体的には、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(VCIP)などがあります。脂溶性なのでクリームなどに用いられています。

両親媒性ビタミンC

水溶性と脂溶性の両方の性質をもつ誘導体です。パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)などがあります。熱や自動酸化に対して耐性をもち、肌でエステラーゼによってアスコルビン酸に変換され、ビタミンCとして効果を発揮するアスコルビルリン酸Naの特徴に加えて、真皮まで到達する皮膚浸透性の高さをもつので高浸透型ビタミンC誘導体とも呼ばれています。  

  レチノール

レチノールは、ビタミンAですが、ビタミンA自体は、動物性の食品に含まれており、細胞の文化・増殖、生殖、視覚機能維持、感染予防など幅広く活躍してくれています。

レチノールは、2017年にレチノールによる小ジワ改善効果・効能が厚生労働省より承認されていることからもわかる通り、肌に対する効果も大きいです。具体的には、コラーゲン産生促進によるハリ・しわ改善、ヒアルロン酸合成促進、表皮のターンオーバー促進によるシミ・くすみの改善などの効果があります。

レチノールが酸化されると、レチナール、レチナールが酸化されると、レチノイン酸となり、これが肌への効果が特に強いです。レチノイン酸は、トレチノインとも呼ばれ、肌への刺激が強すぎることから化粧品などには含まれておらず、クリニックなどで用いられる場合があります。  

図8 レチノールの酸化

図8 レチノールの酸化

  しかし、このレチノールは、肌に効果をもたらしますが、定期的に使用していると、肌が赤みが出るなどのトラブルが起こることがあります。レチノール反応、レチノールバーン(レチノールやけ)と呼ばれることもあります。そして、レチノールは、空気や光で簡単に酸化してしまいます。この酸化したレチノールを使うと肌への刺激に繋がります。酸化防止対策をしっかりしているものを選びましょう。具体的には、空気に触れないエアレスチューブや、一度出た中身が逆戻りしないものなどが挙げられます。例えば、資生堂のエリクシールでは、逆戻り防止策が講じられています。  

おわりに

  いかがでしたでしょうか?アンチエイジングに大切な光と酸素と温度について知っていただければ幸いです。

次回もまたよろしくお願いいたします!  

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