お茶の足の速さ選手権開催

宵越しのお茶は飲まない
やまだ 2025.06.22
誰でも

はじめに

こんにちは、やまだです。先日2日経ったそば茶でお腹を下しました。これまで数回あります。また麦茶でも同様のことが起きています。一方で緑茶や番茶ではこのようなことは起きたことがありません。これは、お茶の種類によって「足の速さ」、つまり腐敗しやすさが大きく異なることを示す典型的な例です。では、科学的みて実際に足の速さは異なるのでしょうか?今回はそんな疑問に答えてみたいと思います。

お茶によって傷みやすさに差が出る理由

結論から言うと、そば茶や麦茶は、緑茶(番茶)に比べて圧倒的に雑菌が繁殖しやすく、傷みやすいという特徴があります。この差は主に以下の3つの要因に起因します。

1. 栄養源の量が豊富

麦茶やそば茶の原料である大麦やそばの実は、デンプンやタンパク質を50~70%ほど含んでいます。これらを煮出しや水出しで抽出すると、可溶化した糖やアミノ酸が豊富に溶け出し、微生物にとって格好の「エサ」となります。

実際、口をつけたペットボトル飲料での細菌増殖試験では、麦茶が24時間で9,000 CFUから48時間で30,000 CFU超に達したのに対し、栄養分の乏しい緑茶では桁違いに増殖スピードが遅いことが示されています。

麦茶の細菌の増殖速度

麦茶の細菌の増殖速度

一方、緑茶系の番茶は、可溶性成分の多くがポリフェノール類であり、糖やアミノ酸が少ないため、微生物の栄養源になりにくいのです。

2. 抗菌成分が少ない

緑茶の主要成分であるカテキン(特にEGCG)は、細菌の細胞膜を損傷させたり、酵素の働きを阻害したりすることで、強力な抗菌活性を示し、細菌の増殖を抑える働きがあります。

緑茶由来の飲料では、実験結果として細菌数がむしろ減少することすらあります。

緑茶は細菌数が減少する

緑茶は細菌数が減少する

しかし、そば茶や麦茶といった穀物茶には、緑茶カテキンと同レベルの強力な抗菌性を持つポリフェノールが少ないため、このような「自己防衛機能」がほとんど働きません。このため、「緑茶や烏龍茶は腐りにくいが、麦茶はデンプンが多く雑菌が繁殖しやすい」と一般向けの記事でも解説されています。

3. pHが中性に近く、抽出条件が雑菌を抱えやすい

細菌は中性域で最も増殖しやすいという特性があります。東京都の食品安全データによると、麦茶のpHは約6.7、緑茶のpHは約6.8と、両者ともほぼ中性ですが、番茶は熱湯で抽出されることが多く、抽出直後はやや酸性に傾きます(pH 5.0-6.5)。酸性側では細菌の酵素活性が低下するため、増殖が遅れる傾向があります.。

さらに、そば茶や麦茶は水出しで淹れたり、粗い茶こしを使ったりするケースが多く、細かい粉や雑菌がそのまま飲料中に残りやすい点も、日持ちの悪さに影響します。熱湯抽出としっかりとした濾過を行う緑茶系飲料と比較すると、初期の菌数や微生物が残存するリスクが高まります。

「足が速い」のは麦茶・そば茶、「相対的に守りが固い」のは番茶

これらの理由から、「お茶の足の速さランキング」を客観的に見ると、穀物茶は「栄養リッチ」でありながら「抗菌成分が希薄」という二重の理由で雑菌が増えやすく、同条件では番茶よりも早く風味劣化や酸敗を起こします。

「番茶だけが長持ちする」というよりは、「番茶が“相対的に守りが固い”」と理解すると、より納得しやすいですね。

実用的な対策:美味しく安全に楽しむために

特に傷みやすいそば茶や麦茶を安全に、そして美味しく楽しむためには、いくつかの実用的な対策を講じることが重要です。

  • 作るとき:90~100℃で1~2分しっかりと煮出す:高温殺菌により、初期の菌数を大きく減らすことができます。速やかに氷水で急冷する:急速な冷却は、菌の増殖速度を大きく抑制します。

  • 90~100℃で1~2分しっかりと煮出す:高温殺菌により、初期の菌数を大きく減らすことができます。

  • 速やかに氷水で急冷する:急速な冷却は、菌の増殖速度を大きく抑制します。

  • 保存容器:洗剤で洗浄後、熱湯消毒または食洗機で殺菌し、水分を完全に乾かす:容器内の残存水分は、初期の菌数を跳ね上がらせる原因となります。

  • 洗剤で洗浄後、熱湯消毒または食洗機で殺菌し、水分を完全に乾かす:容器内の残存水分は、初期の菌数を跳ね上がらせる原因となります。

  • 保存条件:冷蔵庫(4℃以下)で保存し、2日以内に消費する:低温でも菌は増えますが、その増殖速度は大幅に遅くなります。特に水出しの場合は翌日以内を推奨します。常温放置は避ける。

  • 冷蔵庫(4℃以下)で保存し、2日以内に消費する:低温でも菌は増えますが、その増殖速度は大幅に遅くなります。特に水出しの場合は翌日以内を推奨します。

  • 常温放置は避ける。

  • 飲み切り量:外出時は500 mL未満の量を持ち運び、当日中に飲み切る:飲用時に唾液由来の菌が混入すると、その増殖速度が加速するため、少量をこまめに消費するのが安全です。

  • 外出時は500 mL未満の量を持ち運び、当日中に飲み切る:飲用時に唾液由来の菌が混入すると、その増殖速度が加速するため、少量をこまめに消費するのが安全です。

これらを踏まえると、「そば茶・麦茶は作った分だけその日のうちに飲み切る」のが最もシンプルで安全な結論です(大反省)。

おわりに

いかがだったでしょうか?今回の僕の経験も、まさにこれらの科学的な理由に裏打ちされたものです。反面教師としてお使いいただき、お茶の種類ごとの特性を理解し、より安全に飲み物をお楽しみいただければ幸いです。

無料で「アンチエイジング研究所」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

サポートメンバー限定
波長から考える光を使った美容医療
読者限定
水の致死量知っていますか?
サポートメンバー限定
タウリンはアンチエイジングに効く?
読者限定
炭酸水で本当に痩せるの?
サポートメンバー限定
プラセボ効果とは何か?
誰でも
スマホって便器と同じくらい細菌がいるってホント?その真相を深掘り
サポートメンバー限定
口内炎は「老化のシグナル」?
誰でも
専門家は※だらけ